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神輿うんちく学6
神輿は美術工芸品であると共に、担ぎ揉まれて段々痛んでいく工芸品です。
しかし正倉院の御物を例に出すまでもなく、毎年のしっかりした手入れや保管、又適切な修理を行なうことにより永遠に生きつづける工芸品なのです。
● 修理に出す目安
それでは神輿がどんな状態なら修理をすべきかお話し致しましょう。
まず第一に大切なことは、担ぐのに神輿が安全な状態であるかどうかです。
台輪にヒビ割れが入っていると非常に危険です。特に親棒の通し穴の付近です。
次に神輿の上下、水平方向共にガタつきが発生していないか。
蕨手の接続部がしっかりしているか、割れが入っていないか。
金具の金鍍金がとれ、下地が露出していないかなど、構造面、外観面に著しい問題が出始めたときです。
神輿を造ってから20年以上経過したら特に注意してください。
20年から25年経過が一つの目安です。
又荒い担ぎ方や、海や川の中にはいる、酒や水をかける、雨の中を担ぐなど条件によっても修理次期が早くなります。
● 修理内容、費用、頼み方
神輿は傷みが始まると加速度的に年毎に傷みが進行します。
構造上及び外観上に問題が山始めたら、早めに神輿親方と相談して修理をすることです。
そのほうが傷みが少ないうちに手を打つことができ、費用も安く押さえられます。
傷んだまま担いでいると安全性の上でも心配だし悪い個所がどんどん増えるからです。
そして神輿から外れたり落ちた金具はきちんと保管しておいて、修理のとき職人に渡してください。
修理をする場合は、金具の再金鍍金、本漆塗り直し等を含め、完全修理をおすすめします。
その訳は、例えば金具だけを再金鍍金をする場合は、新旧の釘穴があき、二倍の穴になり、木地がその分弱くなっていくからです。
又、漆塗りにしても上塗りだけとか、下地塗りを厚く塗って手間をはぶくとか、浮いている部分をちゃんと剥がして下地処理をしていないと数年でボロが出てきます。
いつ、どこで造った神輿か、前回の修理はいつだったか、どの様な使用、保管状態かもできるだけ正確に職人に伝えることが大事です。
そして神輿屋の親方が直々に手を下して修理作業にあたっている様な店の方が、修理の費用や内容等色々相談もでき信用もおけます。
同じ修理を行なうにしても色々なやり方があります。一般的には今までと同じ様に修理をしますが、例えば白木造りだったのを、総漆塗り神輿にするとか、金具を追加してより豪華版にするなどグレードアップの方法もあります。
又、修理が不可能な古い神輿の場合は復元ということもできます。
いずれにしても神輿の修理ということは神輿職人の方から見れば、新しい神輿を造る2倍の手間(分解と組み立て)がかかります。
費用にしてもずいぶんかかりますので、そろそろ修理が必要だなと思われたら神輿親方に神輿を見せてよく検討してもらい、じっくり修理内容、時期、費用その他を相談することが肝心です。
又、始めての修理だということで金具を取り外してみるとクギ穴が二重にあいているという事も時々あります。このような神輿は傷みが早く来、修理にも手間がかかり費用もやはり高めにつきます。
あとの祭りにならぬよう ご用心 ご用心!!
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