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神輿うんちく学8
さあ明日は祭だ、というので神輿の保管箱を開けた祭礼役員はびっくり! 神輿が泣いているようなのです。不思議に思い、触ってみると金具の部分も他の部分もベタベタしています。まるで神輿が泣いているような、溶けだしているような様子です。
実はこの場合の原因は保管箱を造った木に問題があったのです.資金に余裕があったので前年に高価なヒノキで箱を造ったのです。ご承知のようにヒノキは木の成分が非常に強いため、神輿に悪い影響を与えたためです。
よくある話ですが祭りの準備のために神輿を手入れしようと蔵から出しました。全体にぼやけて埃っぽいので総がかりで神輿磨きです。どうも金具の光りぐあいが良くないな。そうだ去年使った真鍮磨き液があったな。よしこれでだいぶ光りだしたぞ。実はこの場合はせっせと金鍍金をはがしているのです。20年や30年以上は保つ金鍍金をダメにし、早めに修理に出すことになります。
神輿の手入れや保管に当たっては神輿は美術工芸品だということを基本にしてください。
手入れをする場合、金属磨き剤や化学剤は絶対に使用しないでください。
まず、全体の埃をよく落とすことです。柔らかい刷毛や布、あるいはエアーコンプレッサーで丁寧にいたわる様にクリーニング作業をしてください。
次に金具、漆部分、木部などに付着している手油、酒、塩や固着した埃等を、柔らかい布(薄い中性洗剤のお湯でよく洗い、よく絞る)で、丁寧に何度かふき取ってください。ただし金箔部分には触れないでください。基本的には手入れはこれで十分です。
後は台輪の下をのぞいて緩んだクサビをしめ、主な金具を点検し、全体にガタが無いか確認してください。
神輿を泣かすな。
神輿の保管方法の基本は神輿を泣かすな、汗をかかすなです。
通風を良くし、湿気や直射日光を避けホコリが被らないように工夫することが大切です。
まず、神輿本体から附属品を全部はずしてください。それから神輿本体全体に木綿布の袋をかぶせるか、さらし布を巻くかします。(ビニール等の通風の悪いものは絶対使用禁止。)
その後、通気穴のある木の保管箱にいれるか、休み台の上に安置してください。
付属金具類も同様に布や柔らかい紙で包み木箱等に収納します。鳳凰は布袋に入れ、天井から逆さに吊るすか、木の台に足穴をあけて置きます。
飾り綱は水、雨にぬれた場合は陰干しを十分した後、トグロに巻いて布袋にいれます。担ぎ棒は平に置くことです。捩じれにご用心。
神輿の理想の保管場所は校倉(あぜくら)造りの正倉院です。湿気や、通風も適度でサラットした環境だからです。1000年2000年保管倉庫ですね。皆様の神輿は蔵の中で泣いていませんか。汗をかいていませんか。正倉院を見習ってサラットした神輿蔵に保管してやると、きっと次の年は元気で姿を見せますよ。 .
神輿は生きています。木、金属、・漆等の自然材料から出来ている高度な美術工芸品です。神輿と話をしながら手入れをしてください。
正しい手入れ方法で、自分の愛車と同じように可愛がってください。祭礼の前と後にきちんと手入れ、それから保管!
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